こんにちは、手品店長です。
おかげ様で好評をいただいてます、とりこれ第3弾始まります。
胃薬の復習
大きく制酸薬、消化薬、健胃薬、総合胃腸薬の4つに分かれます。
制酸薬
- 制酸成分(炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトetc…)
- 胃液分泌抑制成分(ピレンゼピン塩酸塩、ロートエキス)
- 胃粘膜保護成分(水様性アズレン、テプレノン、スクラルファートetc…)
この3つをを中心に構成されています。ストレスなどで胃がキリキリ痛んだり、暴飲暴食などで胸やけがするときに真っ先に候補に挙がります。
制酸成分が出過ぎた胃酸を中和し、分泌抑制成分が胃酸の過剰な分泌を抑えます。胃粘膜保護成分が荒れた胃粘膜を保護・修復することで症状が改善するという仕組みです。
最もオススメされるのはガスター10ですが第1類です。登録販売者であればガストールかスクラートのどちらかでほぼ対応できます。
消化薬
- 消化酵素(ジアスターゼ、リパーゼ、etc…)
- 利胆成分(ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ユウタン)
消化酵素を補って消化を助けたり、胆汁の分泌を促してアルコールの分解を助けたりするお薬です。
飲みすぎ、食べすぎに対応できます。食べすぎて胃が苦しい・重いときに候補に挙がります。
太田胃散A、ウルソなどが該当します。原因がハッキリしており(心当たりがあり)、痛みがないときは候補に挙がります。
健胃薬
- オウバク(キハダの周皮を除いた樹皮を基原とする生薬)
- ケイヒ(クスノキの周皮または一部を除いた樹皮を基原とする生薬)
- センブリ(リンドウ科のセンブリの開花時期の全草を基原とする生薬)etc…
味や香りで胃を刺激することで、食欲を高めたり弱った胃の機能を改善するお薬です。
ほとんどが生薬で構成されています。味はマズイですが、その味が大切なのでオブラートなどを使用すると効果が薄まります。
大正漢方胃腸薬、恵命我神散などが挙げられますが、販売する際は重ね重ねクソマズイことを伝えておきましょう。
総合胃腸薬
風邪薬と同じ発想で色々なものをぶち込んだお薬です。例えば、胃が重くて食欲がないだとか複合的な症状の時に選ばれます。第一三共胃腸薬、太田胃散などいわゆる胃薬は全部これです。
胃痛、胸やけ、ムカムカなどにガストール
https://www.ssp.co.jp/product/all/gl-t/
ピレンゼピン塩酸塩水和物〈M1ブロッカー〉(ピレンゼピン塩酸塩無水物として45mg) 47.1mg 胃酸分泌を促進するM1受容体をブロックし、過剰な胃酸を抑えます。 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 900mg 胃酸を中和するとともに胃粘膜を保護します。 炭酸水素ナトリウム 1,200mg 出過ぎてしまった胃酸を中和します。 ビオヂアスターゼ2000 30mg 食物の消化を促します。
我々は医師ではないので診断はできませんが、胃の痛みは、
- ①胃酸出すぎ
- ②胃荒れすぎ
- ③胃動きすぎ
この3つが原因で起こることがほとんどです。これ以上(例えば胃に穴が開きそうなほど痛い)の時はOTCでは対応できませんので受診勧奨になります。
①と②については制酸成分と胃粘膜保護成分が入っていれば良いので、真っ先に候補に挙がるのはガストールです。
粉と粒がありますが飲めるほうを出せば良いです。粉薬のほうが溶けるのが速いので速く効きますが、味はお察しください。
また、成分を見るとわかりますがガストールは胃の症状をほとんどカバーしています。
お客様の言っていることが抽象的すぎるときや、迷ったときにもとりあえず見せてみると良いでしょう。
胃が痛い、胃が痙攣している感じにはブスコパンA錠
https://www.ssp.co.jp/product/all/bua/
ブチルスコポラミン臭化物 10mg 胃腸の異常な緊張を和らげ、胃酸の分泌を抑え、痛みをしずめます。
③などの下痢のない腹痛にはこれ一択です。ブチルスコポラミンの抗コリン作用が、内臓の収縮による痛みを抑えるお薬です。生理痛専用のお薬にエルペインというものがありますが、こちらにも同じ成分が入っています。
ただし、胃痙攣やみぞおちの不快感には重篤な疾患が隠れている可能性があります。続くようなら受診勧奨してください。
一通り対応できる消化薬 太田胃散A
https://www.ohta-isan.co.jp/ohtaisanaj/?utm_source=yahoo&utm_medium=paidsearch&utm_content=202311&utm_campaign=23product&utm_term=%E5%A4%AA%E7%94%B0%20%E8%83%83%E6%95%A3%20a&gad_source=1&yclid=YSS.1000966731.EAIaIQobChMI8pvRtu6rggMVN9oWBR3ZAwqOEAAYBCAAEgLtNfD_BwE
消化剤 リパーゼAP6 60mg 脂肪を消化する酵素です。 プロザイム6 30mg たん白質を消化する酵素です。 ビオヂアスターゼ1000 60mg でんぷんやたん白質を消化する酵素です。 ウルソデオキシコール酸 12.6mg 胆汁の分泌を促し、脂肪の消化を助けます。 制酸剤 炭酸水素ナトリウム 1,530mg 速効性、持続性、遅効性などの作用時間の異なる各制酸剤が、出過ぎた酸を中和し、胃の中の酸度を調整します。 合成ヒドロタルサイト 900mg 沈降炭酸カルシウム 270mg 健胃生薬
成分ケイヒ油 10.40mg 生薬成分が持つ特有の芳香と健胃作用で、胃の働きを良好にします。 レモン油 4.46mg ウイキョウ油 1.65mg
食べすぎにも痛みにも対応できるお薬です。もう全部これで良いんじゃねぇかな…。
消化成分が4種類入っており、大体の食べすぎ飲みすぎに対応できます。心当たりがある胃もたれの時は真っ先に出して良いでしょう。
体質改善、胃を強くしたいなどの時は養命酒
成分・分量(60mL中)
日局 インヨウカク 114mg 日局 ウコン 36mg 日局 ケイヒ 270mg 日局 コウカ 12mg 日局 ジオウ 60mg 日局 シャクヤク 60mg 日局 チョウジ 24mg https://www.yomeishu.co.jp/yomeishu/about/product.html
日局 トチュウ 18mg 日局 ニクジュヨウ 48mg 日局 ニンジン 60mg 日局 ボウフウ 96mg 日局 ヤクモソウ 48mg 局外生規ハンピ 12mg 烏樟 594mg
そもそもほとんどの胃薬には健胃成分が入っていますから、これだけのオーダーというのはなかなか無いと思います。
何となく不調な日があったりなかったり、体質改善や胃を強くしたいなどの要望の時に出しましょう。
各生薬について細かく説明してもお客様は退屈しますので、「胃腸だけでなく冷え性や疲れにも良いですよ」とか適当なこと言っておけば良いです。当たり前のことですが20歳未満には販売できませんので注意してください。
また、医薬部外品にエビオス錠という商品があります。こちらも健胃に使うことができますが、プリン体を含むため一応注意しておきましょう。
買い置き用、とりあえず胃薬が欲しい時 第一三共胃腸薬
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/ds_ichoyaku_blue_tab_s/
タカヂアスターゼN1 150mg 広いpH域ではたらく消化酵素で、消化を助け、栄養の吸収をよくします。 リパーゼAP12 60mg 脂肪消化酵素で、消化作用をあらわします。 アカメガシワエキス 63mg(アカメガシワとして504mg) 胃腸の過度の緊張をおさえて、胃粘膜を保護し、胃の炎症をしずめます。 カンゾウ末 150mg ケイ酸アルミン酸マグネシウム 720mg 持続的な制酸作用を有し、かつ胃粘膜の炎症面を保護するはたらきもあります。また、合成ヒドロタルサイトは速効性もかねそなえています。 合成ヒドロタルサイト 300mg 水酸化マグネシウム 600mg 速効的な制酸作用を有し、胸やけ、げっぷなどの過酸症状を改善します。 オウバク末 105mg 味や香りによって味覚を刺激し、胃液や消化液の分泌を調節し、消化を助けます。 ケイヒ末 225mg ウイキョウ末 60mg チョウジ末 30mg ショウキョウ末 75mg l-メントール 9mg
その他似たような処方のものなら何でも良いです。パンシロン01+、キャベジンコーワなど。
胃薬の難しさはその症状の多さと、成分の多さにあります。加えて人によって感じ方が違うため、同じ胃の痛みでもキリキリ派とムカムカ派がいたりします。
ほとんどの胃薬は制酸・消化・健胃を兼ねていますから、迷ったら総合胃腸薬から出すのもアリだと思います。
安いですし、色々入っていると効きそうな気がしますからね。
聞き取りをする際はあれこれ聞きすぎて混同しないようにしましょう。特に胃の痛みについては原因が何なのか探るようにしてください。ブスコパンは忘れがちですが、ピタリとハマる接客があったりします。頭の片隅に置いてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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